介護から風俗へ流出

介護や看護、賃金の安いサービス業を生業にする一般女性が性風俗に大量流入することになった背景には、貧困問題がある。
この頃から全国的に貧困の指標である相対的貧困率の上昇傾向が続いているのだ。
非正塑雇用の増加や新卒採用の減少などで格差の拡大は進み、フルタイムで働いても普通に生活ができない貧困層が生まれることになった。
相対的貧困率とは、世帯年収の可処分所得(正しくは等価可処分所得)が中央値(平均値を下回る値)の半分に満たない人の割合を表すもので、2009年の厚生労働省の調査では過去最悪の10パーセントとなっている。
女性を中心に非正堪雇用が一般的になりヽ現在ヽ貧困に該当する者はどこにでも存在するっとりわけ単身女性に絞ると召3ニパーセントで3人に1人、シングルマザーは2人に1人が貧困に該当するという。
相対的貧困率の悪化は、介護職の現状に象徴されている。
全国労働組合祀連合(全労連)の調査(2010年)によると、介護労働者の平均年収は非正規雇用も含めて207万円、月に換算すると17万円強である。
所得税や社会保険を引かれたら手取りは14万円台。
過半数どころか大多数が、貧困に近いラインの生活を送っている。
現在の給与水準で介護職員をしながら人並みの生活をしているのは、結婚して世帯が共働きか実家住まいの未婚女性のみである。
圧倒的に性風俗に人材を輩出している介護業界には、それ以外にも理由が揃いすぎている。
実は小さな介護施設を運営しており、数年間介護現場を経験して見えてきた現実である。
介護施設に就職すると、早出、遅出、夜勤と勤務時間が不定期で、休日も不定期なので外の介護以外の友人や知り合いと人間関係を保つのが難しくなる。
閉鎖的な生活環境では、施設の中での職員同士の人間関係が濃くなる。
施設でのケアは常にチームプレイとなるために同僚、上司とは良好な人間関係を培わなければならない。
職場には女性が多い。
介護職に限った話ではないが、女性は基本的によく喋る。
仕事中、休憩中など時間にかかわらず、施設内では様々な情報が交換されている。
このような人間関係が限定された閉塞した環境は、ストレスが溜まりやすい。
会話をするのは高齢者や同僚だけ、仕事と職場の人間関係しかない、生活は貧困レベル。
このままではいけないと不安に襲われる。
そんな時に「実は私……」と風俗経験を語る同僚に出会う。
もともと介護施設は離職率が高く、人材が流動的で、様々な年齢、経歴をもっか女性が集まっている。
水商売や性風俗経験者、現役兼業者、男性経験豊富な者、不倫をしている者などなどが新人として登場することになり、それぞれの情報が施設の職員間で共有されやすいのだ。
多くの介護施設は「笑顔、やりがい、成長、夢など、ポエム的な常套句を1方的に職員たちに叩き込む傾向がある。
洗脳してポジティブな状態を保たせて、なんとか低賃金で働かせようとする施設側の工夫だが、貧困レベルの生活をしている自分より、兼業風俗嬢の方がゆとりがあって幸せそうに見えるのは明らかで、よほど鈍い女性以外はその差を実感することになる。
経済的に困っている様子のない兼業風俗嬢加入職して「実は私……」とカミングアウトするとヽ白い目で見るどころかヽ「私もやりたい」というむ者が現れる。
こうしてまた誰かが性風俗への一歩を踏みだすという連鎖となる。
1対1での会話や肉体を使ったサービスが求められる等、共通項は多く、相手が高齢者全般から男性限定に変わるだけ。
他業種よりも違和感なく性風俗に向かっていけるという面もある。
性風俗店の男性客が求める「明るさ」「コミュニケーション能力の高さ」「気が利く」「優しさ」等々は介護職員に求められる適性と1致する。
介護職員として優秀な女性ほど、性風俗でも活躍できる能力がある可能性が高い。
国家資格である介護福祉士を取得している女性ほど、性風俗に流れて成功しやすいのだ。
しかも普通に生活ができる程度の賃金すら支払えない介護業界には、副業を許容するムードがある。
慢性的な人手不足のうえに、人材は流動的、もともといろんな経歴を持つ人が多いため、副業程度で解雇になることはない。
兼業をする条件が揃いすぎているのである。
このまま介護職員の性風俗への流出が続き、兼業風俗嬢が他の職員より豊かで楽しそうに生活をしていると、さらに人材の流出が進む可能性がある。
優秀な女性ほど風俗嬢としても成功するので、本業だったはずの介護に見切りをつけるからである。
介護職の高い離職率は社会問題になっているが、性風俗への流出は明らかにそれに拍車をかけている。
さらに追い打ちをかけるように、介護保険制度は財政難のため報酬抑制の方向にむかっている。
現在でさえギリギリの生活を強いられているのに、さらに首を絞めようという流れとなっている。
介護職員の収入は3年毎に改定される、介護保険が適用されるサービスを提供した施設に支払われる報酬(介護報酬)が大きな鍵を握っている。
2015年度の介護保険制度改正では要支援の介護保険からの切り離しが検討され、さらに2015年8月から年間年金収入280万円以上の利用者は現行1割の自己負担割合を2割にすることが決まっている。
負担が増せば利用の抑制、そして介護報酬の減少は明らかで、介護職員の性風俗への流出は、今後さらに拍車がかかることは間違いない。
ワーキングプアを次々と生みだしている悲惨な状況でも、介護施設側は「介護は熱い想いを伝えられる素晴らしい仕事、夢がある」などと必死に訴えている。
しかし、介護職は蓋をあければ豊かさの欠片もない貧困女性の巣窟というのが現状だ。
高い志を持って介護の世界に足を踏み入れても経済的、精神的にすぐに追いつめられ、これからは外見スペックが高い女性は性風俗へ、低い女性はそのまま専業介護職員という流れが、1つの定番となるのではないだろうか。